江戸のエナジー展 

2021年1月31日


   
静嘉堂文庫   

静嘉堂は岩崎彌之助(1851〜1908、三菱第2代社長)と小彌太(1879〜1945、同第4代社長)
によって設立され、美術館は静嘉堂文庫創設百周年の記念事業として平成4年にオープン。
現在、国宝7点、重要文化財84点を含む凡そ20万冊の古典籍と、絵画・彫刻・書跡・
漆芸・茶道具・刀剣・陶磁器など6,500点の東洋古美術品を収蔵している。
美術品のなかには、世界に3点しか現存しないといわれる、中国・南宋時代に作られた
国宝「曜変天目茶碗(稲葉天目)」、国宝の俵屋宗達筆「源氏物語関屋・
澪標図屏風」など、極めて貴重な作品が多数ある。
「静嘉堂文庫」は桜井小太郎(1870〜1953)の設計により、1924年(大正13年)に
建てられたもので、鉄筋コンクリート造2階建スクラッチ・タイル貼りで、
当時のイギリス郊外住宅のスタイルを表現した瀟洒な外観になっている。

   
 静嘉堂文庫美術館玄関 「江戸のエナジー」展 

「静嘉堂文庫美術館」には、常設展示がない。時期ごとの企画展を見ることになる。
この時期は、「江戸のエナジー」展が開かれていたので、車で行ってきた。

展覧会について
浮世絵の「浮世」は、もとは「憂世」と書きました。中世までは、憂いことの多い世の中を悲観する概念でしたが、江戸時代に入りこうした厭世的なものではなく、経済生活を確立しつつあった庶民のエナジーによって大きく変化し始めます。 “はかないこの世を享楽的に生きよう”という“浮世の概念”が誕生します。 
絵画においても、日常生活は画題となり、庶民も絵を買い求め、絵師たちは多彩な活動を始めたのです。時代を写す鏡のような風俗画や浮世絵の誕生はその最たるものといえるでしょう。本展では、静嘉堂の誇る重要文化財「四条河原遊楽図屏風」など近世初期風俗画のほか、軽妙洒脱に江戸の風俗を描いた英一蝶の「朝暾曳馬図」を修理後初公開します。
また静嘉堂の浮世絵といえば、平成8年、22年、30年に公開した幕末の人気絵師・国貞の錦絵画帖ですが、本展では秘蔵の浮世絵版画を、錦絵誕生以前から春信、そして黄金期の歌麿、北斎、近年人気の国芳まで通史的に展示します。これらは昭和52年、静嘉堂文庫展示館開設当初にごく一部を公開していますが、平成4年開館以後、初公開となります。
加えて、明治末期、海外向けに日本美術を紹介した豪華画集『浮世絵派画集』(審美書院)に掲載された「男爵岩崎彌之助君所蔵」の肉筆浮世絵などを初めて展示します。江戸時代初期の風俗画から浮世絵に溢れる、江戸時代の人々のエナジーを、静嘉堂秘蔵の名品でご堪能ください。


   
富士山   すいせん

武蔵野の面影を色濃く残した庭園では、美術館南側斜面の梅園や美術館入口脇の
ギンモクセイなど、四季折々のさまざまな樹木や花々を楽しむことができる。
二子玉川の街を一望することができて、遠く富士山も眺望できた。

   
 梅が咲き始めていた 岩崎家霊廟 

庭園内にある廟(納骨堂)は、文庫の設計をした桜井の師である英国人建築家、
ジョサイア・コンドル(1852〜1920)の設計によるもので、明治43年(1910)に建てられた。
鹿鳴館の設計で知られるコンドルは、岩ア彌之助の深川邸洋館(現・清澄公園内、
現存せず)や高輪邸(現・開東閣)、三菱一号館(2009年復元、
現・三菱一号館美術館)など、岩ア家ゆかりの建物も数多く手がけている。




静嘉堂文庫美術館のある一帯は、国分寺崖線と呼ばれる、国立市、国分寺、世田谷、
等々力へと続く高さ10〜20mの崖の一部になる。崖線直下には野川が流れている。
多摩川が10万年以上かけて武蔵野台地を削り取ってできたものである。