たてもの園    

2008年7月6日

小金井公園の中にある「たてもの園」の見学の企画があり、参加した。

現地保存が難しくなった文化的、歴史的に価値がある建物が移築復元され、

一般公開されている。建物のほとんどが中に入って見学できるので、いくつか入ってみた。

中に入ると、ボランティアのガイドの方がいて、その説明を聞いているだけで楽しいし、勉強になる。

たてもの園
大川邸(田園調布の家)

建築家の建物もあって、本当に細かいところで、工夫をして作られているのを聞いて、驚く。

なかでも注目は『前川國男邸』である。昭和17年の戦時中に建てられており、

木材に限るなど建築資材も制限され、その他にも100平方メートル以内などいろいろな法律で非常に

困難な状況の中建てられたらしい。玄関を入って、中央のリビングは、吹き抜けになっており、

機能的に作られた家である。南側の採光も大きく、かなり広く感じる。

テーブルは台形になっていて、その理由は4人が座った時に全員がちゃんと

重ならずに立派な庭を眺められるようにとのこと。書斎をのぞくと、窓を広くとり、

窓の雨戸・障子などが綺麗に組み合わせができて、すっきり見えるようになっており、

さりげなく細かいところでこだわっている。床と壁の境目にある壁の下の巾気は、汚れたり、

壊れやすい壁の下部を保護するのが目的であるが、さらに目立たないように

巾気の下部の部分を削って作られていたりと、遊び心なのか、かなり細かく工夫して作られていることが

説明された。ガイドの方はこういったことは普通のガイドブックには書かれていなくて、

裏本があるともいわれた。こうして説明を聞いていると時間がたつのも早い。

家の設計自体も建築家の学生にとっては学ぶことが多くて、学生がよく設計図やメジャーを持って、

見学に来るとのことである。金のメジャーで建物を傷つけられたことも聞かされた。

前川邸の南側概観
木目も揃えて作られていた

前川邸書斎
前川邸居間の採光

前川邸のテーブル
常盤台住宅地案内図

常盤台写真館は、1937年に東武東上線の武蔵常盤駅(板橋区)に建てられている。

常盤台は、東武鉄道が開発した住宅地で、案内図があった。

常盤台住宅地の街路計画の特徴は、住宅地内を一周するように環状道路を想定して、計画された。

途中で終わっているが、家や道路が整備され、駅前広場や公園も作られている。

常盤台写真場の2階のスタジオは再現されていて、実際に撮影をしてくれる日もあるようだ。

スタジオ
常盤台写真場

藁葺きの家の中で囲炉裏
鬼太郎の家

茅葺の家の中に入ったりしながら、見学し、宮崎 駿監督のアニメ「千と千尋の神隠し」

のモデルになった「子宝湯(昭和4年)」という銭湯等もいろいろと見学をした。

壊れかけた小屋らしきものがあったので、見に行くと、なぜか「鬼太郎の家」になっていた。

下町中通り沿いの商店街
子宝湯の壁

東ゾーンの下町中通りの突き当たりにあるのが、「子宝湯」である。

近くには居酒屋鍵屋があり、1970年(昭和45年)の店内の姿を再現しているそうである。

台東区下谷の居酒屋鍵屋
是清の書

最後に高橋是清邸をみた。高橋是清は、港区赤坂にあったこの邸宅二階書斎で暗殺(2・26事件)される。

現在、ここに復元されているのである。政治家は透明性が必要だと2階の窓を大きくとってあったり、

自由の発想を持たなければと、あえて、畳の大きさも自由に変えてつくられていたりした。

思想が建物に反映されているのだと思った。狙われやすい立場にもあったので、

暗殺者の出入りを意識したような作りもあった。結果的にここで発想の自由がきかない

軍部に暗殺されることになったと説明を受ける。

是清邸の大きさの違う畳

たてもの園を一旦出て、小金井公園で、ビールを飲みながら、お昼を食べた。

その後は室内展示をみてから、吉祥寺に移動し、飲み会から参加の人と合流し、

焼き鳥で有名な「いせや」で二次会、さらに他の店で三次会だった。

「たけおか」の仲間とよく歩き、よく学び、よく飲んだ一日であった。

日ごろの疲れが出たのか、うとうとしたりしたが、リフレッシュできた。

いせやの入口
いせやで集合写真